オー・ヘンリーミステリー傑作選(1)、感想あらすじ、ネタバレ

オー・ヘンリーミステリー傑作選(1)、感想あらすじ、ネタバレ

オー・ヘンリーといえば、ウィットに富んだユーモアのある小説を書く小説家として有名です。特に「最後の一葉」はアニメとかドラマの原作になったりするので小説は読んでなくとも内容を知っている人はおおいとおもいます。
彼の短篇作品のすべてが日本で翻訳されて出版されているわけではないそうです。オー・ヘンリーの短編小説のうち日本で紹介されている割合は約3割程度で、残りはまだ翻訳されて出版されていないそうです。
彼の作品の特徴は、泥棒や詐欺といった職業を持つ主人公が登場しますが、根っからの極悪人ではなく改心したり人情を持っている人物たちです。そのため小説を読んでいて良い意味で読者の予想を裏切ってくれますが読んだあとに気持ちが暖かくなる部分があります。
まるで、こころのチキンスープみたいな短編小説です。(チキンスープの和訳、内容あらすじ紹介はこちら、ただしネタバレがあります。)

操り人形/金庫強盗

あらすじ
医者と金庫強盗の2つの顔を持つ男が、急患の依頼を受けて診察した。患者は心臓発作を起こして今にも死にそうだった。
患者の男の家の様子を見ると金持ちらしかったので、男は患者に金の在処を聞き出そうとする

感想
金庫の中の金品、宝石をこっそり盗む男というと人情もない人物と思いがちですが、医者と金庫強盗の顔を持つ男は、患者の残された家族のために他の家で盗んだ金を、死んだ夫が残した遺産だと良い嘘をつき去っていきます。
この展開に良い意味で読者は騙されたと思うことでしょう。

虚栄と毛皮/嫌疑

あらすじ
街のギャング団に入っていた男が心を入れなおして抜け出し、世帯を持った。
男はギャングに入っていた頃は高いスーツ、靴を履き見栄を張っていたが、いまでは安い給料で働く毎日だった。
ある日、男は妻のために、毛皮を買ってプレゼントしたら、その毛皮に盗難品の疑いがかかってしまった。

感想
ストーリーを読み進めると、やっぱり悪いことをした男はなかなか過去から抜け出せないと思ってしまいましたが、結末は大したことない見栄っ張りで終わりました。
でも悪い方の行いではなく、ある意味で良い方の嘘で終わっています。

X嬢の告白/詐欺

あらすじ
アメリカの親元を離れた女性が数年後にアメリカに戻ってきて、紳士と付き合うようになるが、彼女はその紳士の素性を疑っていて踏ん切りがつかない。
実はその紳士は偽物だった。そして彼女は、、、。

感想
読者をだますのがお得意のオー・ヘンリーらしいテクニックだと思いました。
付き合っている男の素性が怪しいと読者に思わせつつ実は、物語を語る主人公の女性こそが怪しい人物だったのです。

不貞の証明

あらすじ
探偵を始めたばかりの男に夫の素行調査を依頼しに来た夫人らしい人物の正体は、、、

感想
この手の展開は映画やドラマでよく見ます。この展開の場合、読者はある程度次の展開を予想できますので、うまい脚本なら裏の裏を読むようなストーリー展開が面白さを増すでしょう。
今回のストーリーは読者の裏をかく基本中の基本でしょう。

20年後の再会

あらすじ
20年後に再会を約束した二人の男たち。
約束の日に一人の男が夜に店の付近で待っていた。そこへ現れた男は、、、

感想
オー・ヘンリーの短編小説のなかでも有名なお話です。一方の男は指名手配の男でもう一人は警官でそれぞれの道を進みました。
警官となった男は友情を取るか法を守るかどうしたらよいかと葛藤をしたでしょう。友情を守れば指名手配犯をむざむざと逃がすこととになり警官としての職務を全うできません。かと言って、再会現場で彼をそのまま逮捕すれば話もできず約束を果たせず友情が壊れることになります。
警察官の男は親友との約束を守り、法を守ることでした。それが友情のせめてもの報いだったでしょう。
もし、指名手配の男が親友の職業が警官だと事前にわかっていても約束の日に会いに来たでしょうか。自分が逮捕される危険を犯してまで約束を守るかというと、おそらく何らの方法で約束を果たすために親友に会いに来たでしょう。

少年と泥棒

あらすじ
泥棒が盗みに入った家の子供に説教されてしまう

感想
文面に作者のセリフが登場してまるで、舞台の劇が演じられているかのような雰囲気がありました(読んでて面白く無いですが)。なぜ子供が泥棒を恐れないのか、怯えないのかと不思議に思いましたが、子供だから怖いもの知らずということだったのでしょうか。ちょっと疑問の残る短編でした。

よごれた十ドル札の物語

あらずじ
お金、お札が人間のように経験を語る。

感想
お金が実際にどのような人に渡り、どんなことに使われるのかお金が話せるものなら、聞いてみたいものです。

お金は汚いとよく言われます。
汚いというのはそのままの意味で、汚れているとかバイキンが付いているとかの意味合いがあり、また、悪い行いで得られたお金や法や規則を破って得られた報酬としてのお金のことを言うでしょう。
どちらの場合でもお金はお金であり、貧しい人に渡ればその金は子供が食べるパンに代わりますし、お金持ちに渡れば贅沢なダイヤに代わることでしょう。
金は天下の回りものといいます。巡り巡って色々なところをお金が渡り歩き、もしかするともう一度自分のところに戻ってくることもあるでしょう。お金を持ってあの世にはいけませんので、有意義に使いたいと思います。

とりもどされた改心 A Retrieved Reformation

あらすじ
金庫破りのジミー・ヴァレンタインは、気質になり金庫破りはもう二度しないと誓い、ラルフ・D・スペンサーを名乗り靴屋を始めた。
そして、銀行家の娘アナベルという恋人もでき順風満帆で新しい人生を謳歌しようとしていた。
あるとき、新しい金庫を見学に来た銀行家の家族の子供が金庫に閉じ込められてしまった。新しい金庫であるため鍵の解除の設定がされておらず誰も金庫を開ける方法を知らなかった。
その時、ラルフは昔のジミーに戻り、金庫を開け子供を救う。しかし、それは自分の汚い過去を晒すこととなった。
ジミーを追ってきた刑事に観念すると、刑事は人違いだと言ってジミーを逮捕しなかった。

感想
このお話もオー・ヘンリーの作品の中で有名な短編で良いお話です。金庫を破れば自分の正体がバレてせっかくうまく行きかけた第二の人生が泡となって消えてしまい、また塀の中に戻ってしいます。だから、ジミーからすれば、知らぬ顔をして黙ってみているだけでよかったのです。
しかし、彼は恋人の家族である子供を見捨てることができませんでした。たとえ、自分の正体がバレてしまっても自分の能力があれば、こんな金庫などすぐに開けてしまえる。そして、大切な子供の命を救える。自分が偽りの名前を捨てれば命が助かる、そう思ったのでしょう。
宿敵の刑事も、いますぐジミーを捕まえようといさんでジミーのところにやってきていながら、彼の行動をみて逮捕するのをやめました。せっかくの証拠が目の前にありながら、ジミーのとった行動に改心の気持ちを見て取ったのでしょう。
ジミーは金のために金庫を破ったのではなく、人を救うために金庫を破ったのであり、これは法を破っていないと解釈したのでしょう。

リンチ異聞

あらすじ
ニューヨークで起こったとされた暴動について二人の男が話している
感想
ニューヨークで起こったとされた暴動について、うわさ話をしているのか本当のことなのかこの時代の風潮がわからず意味不明でした。

天の声

あらすじ
ジョンカーナンは法を破った。刑事バーナードウッズは、カーナンというこの男、過去は友人だったが、を逮捕したかったがある理由でできなかった。
この男に金を借りた恩を返すまで逮捕できなかったのだ。カーナンは、ウッズと一緒に酒を飲みあれこれと犯行に及んだ話をする。そして、新聞社にからかいの電話をかけた。
二人は夜通し飲み明かした。
翌朝の朝刊を刑事のウッズが見た時、ウッズはカーナンを逮捕する。

感想
泥棒から金を借りてしまい、その後の犯罪でその泥棒を逮捕できないというのはなんとも頼りない刑事だと思いましたが、それだけ金が必要であり、助けてもらった恩が大きかったということなのでしょう。金さえ返せばすぐにでも逮捕できるのに逮捕できない悔しさがあったはず。
そこで、本人をけしかけて新聞社に懸賞金をかけさせて、見事金を返却し、逮捕できた算段は見事でした。

女を探せ

あらすじ
2万ドルもの大金を飲み屋のマダムから預かっていた男が天に召された。その後、マダムのお金は行方がわからなかった。
当初この男が他の女に貢いだという不名誉の噂が流れたがそんな女はいなかった。
お金の行方がわからず諦めた時、そのお金は、実はマダムの飲み屋のある場所にちゃんと存在していた。

感想
お金の行方が教会にあると読者に思わせて、実はマダムの飲み屋にあったというストーリーの流れは、さすがに読書に予想させようとするのに無理がありました。

隠された宝

あらすじ
二人の男性が同じ女性に恋をした。二人は恋敵だった。しかし、彼女は二人に何も伝えず親と一緒に引っ越しをした。親が変な虫が寄り付かないためだった。
女性がどこに行ったのか全くわからず、彼らは彼女を必死になって探した。
でも彼女の消息をつかむことはできなかった。そのため二人は協力をするようになる。
そんな時、二人の男のうちの一人に宝の地図が迷い込む。二人は協力して宝を探すが見つからず、二人のうちの一人は諦めて帰ってしまった。
残った一人は諦めきれずに宝を探すと、別の宝を見つけた。

感想
オー・ヘンリーの小説らしい結末がハッピーエンドのストーリーです。オー・ヘンリーの小説では終盤が急展開する面白さがあります。
ストーリーの最初に登場する女性は、話の筋に無関係かと思って読んでいましたがその考えは間違っていました。
実はこの女性こそが物語の大事な宝物でした。

キャロウェイの暗号

あらすじ
戦争中の新聞特派員が日本の軍の検閲を暗号で交わし、特ダネをアメリカの新聞社に送る

感想
軍の作戦行動を暗号で新聞社に送ることよりも、終幕のシーンのやりとりのほうが機知に富んでいます。
こういう頭の良い所がオー・ヘンリーの小説らしさです。
また、日本が(戦争中の内容なので、あまり嬉しい気はしませんが)小説の内容に登場するのはちょっとびっくりです。こういった小説ではあまり東洋のアジアの国が登場するのは珍しい気がします。

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